Kanpo【麻黄附子細辛湯】【五苓散】風邪のひきはじめ・二日酔いにも オススメ漢方薬Vol.4

マオウブシサイシントウ

今回はオススメ漢方薬の第4回
第2回で「インフルエンザ」には「麻黄湯」と「補中益気湯」をご紹介しました。
そこで今回は、一般の風邪の様々な諸症状に効く漢方薬のご紹介です。
自分は普段ほとんど風邪ひかないのですが、ひょっとすると、ひいたなあと思ったとき、
早目に漢方をのんでいるおかげかもしれません。
そこで今回は、家の常備薬の風邪のひきはじめの漢方薬をご紹介したいと思います。


「麻黄附子細辛湯」マオウブシサイシントウ


風邪っぽいなあというとき、のどがチクっとしたり、
ゾクゾクっとしたり、微熱があったり・・・
なんとなく、風邪かなあっていうとき、気のせい?
なんかわかんないけどとりあえずのむ!がたぶん正解です。子供さんでも、お年寄りでも、ほぼ誰でものめます。

*ただし妊婦の方は、服用を控えた方が安心なのであらかじめ、主治医にご相談ください

一番マイルドな麻黄剤。
構成生薬は (麻黄) (附子) (細辛) の三つ だけ。
即効性ですね!名前もその名の通り並べただけなので覚えやすい!


麻黄 和名マオウ 学名Ephedra
【麻黄】マオウ
主成分はエフェドリンで発見者は長井 長義。
( 阿波の国出身)日本薬学会の初代会頭で近代薬学の祖。私の母校の徳島大学薬学部の創設者でもあり、現在の大日本住友製薬の創業者でもあります。
坂本竜馬や大久保利通、伊藤博文らとも親交があったそうです。
そう聞くと、薬にもなんだか歴史を感じます。味わい深いというか。

「麻」の字を含む漢方薬には必ず入っています。オススメ漢方薬!インフルエンザに効く漢方薬でご紹介した「麻黄湯」はその名のごとく。
そのほか、有名な「葛根湯」や次にお話する「小青竜湯」「防風通聖散」などいろいろな漢方薬に入っています。

発汗により、悪寒などをともなう症状を改善します。もちろん呼吸苦や発熱、痛みなどにも効きます。
【附子】
【附子】ブシ
トリカブトの根。
有毒植物として有名です。主な毒性成分の一つはアコニチン。
直接食べたら、へたしたら死んでしまいます。四谷怪談のお岩さんの毒。減毒(約千分の一程度にまで)してあるので、ご心配いりません。これを修治処理といい、加工附子や修治附子として漢方薬として使われています。


【細辛】サイシン
冷感や寒気を伴う症状を改善。ウスバサイシンの根および根茎が使われています。
頭痛、関節痛、鼻閉、咳などに効果があります。

②「小青竜湯」ショウセイリュウトウ


「鼻水が出る」「熱もない」「のども痛くない」「咳もない」「でも鼻水だけでる」
いわゆる鼻かぜのとき。鼻かぜや花粉症のファーストチョイスとして有名。小児喘息にもとってもオススメ。

構成生薬は少し多めの八種類
(麻黄)(芍薬)(細辛)(半夏)(乾姜)(甘草)(桂皮)(五味子)
芍薬シャクヤク
【芍薬】シャクヤク
主成分は根に含まれるペオニフロリン。 
オススメ!漢方薬vol.3「芍薬甘草湯」を参照してください。

半夏ハンゲ
【半夏】ハンゲ
カラスビシャクの球茎   別名「へそくり」。いわゆるこっそりお金を貯める「ヘソクリ」の語源。
桂皮ケイヒ

【桂皮】ケイヒ
クスノキ科のケイの皮で「桂皮ケイヒ」(樹木先端の枝の皮は「桂枝」)。いわゆるシナモンで、カプチーノにはかかせません。八ツ橋が苦手な方は、やっぱり漢方でも苦手かもしれません。「桂」の字をもつ漢方や「八味地黄丸」や「十全大補湯」「桂枝伏苓丸」「五苓散」など有名どころに多くはいっています。
乾姜ショウガ

【乾姜】カンキョウ
いわゆるショウガ。温まります。漢方エキス剤のおよそ半分には、生姜または乾姜が含まれています。
五味子ゴミシ
【五味子】ゴミシ
五味子茶としてご存知の方も多いかも。強精、強壮、鎮咳などの作用があります。

甘草カンゾウ
【甘草】カンゾウ
主成分はグリチルリチン。漢方エキス剤の4分の3に含まれています。その名の通り甘く、甘味はなんと砂糖の50倍!しかも低カロリー。欧米ではリコリス菓子として有名。さらに発がん抑制作用でも注目されています。

「五苓散」ゴレイサン
おなかにくる風邪かな?ちょっとおなかがゆるい?下痢気味?みたいなとき。

構成生薬は覚えやすい五つ。
 (桂皮) (沢瀉) (蒼朮) (猪苓) (茯苓)
水毒(水が滞るイメージ)には、「五苓散」です。水が多ければ、外に出してくれ、少なければ、逆に保持してくれます。要は水分バランス調整薬。西洋薬では、こうはいきません。
利尿薬は外に出すいっぽう。からからになってしまいます。止める薬は止めるいっぽう。
この点、漢方薬はどちらか一方に偏ることがありません。バランスって大事です。
ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス性胃腸炎だけでなく、胃腸の症状や水が滞ることでおこる身体の不調全般に効きます!忘年会シーズン、二日酔いでお悩みの方。
「五苓散」はアルコール代謝改善作用も確認されています。

おなかの風邪だけじゃなく頭痛や吐き気、めまい、耳鳴りなど。それらしい症状にはいろいろと効きます。困ったら五苓散。ちなみに「五苓散」に「小柴胡湯」を合わせると「柴苓湯」になります。「柴苓湯」によりステロイドを50%減量できるという報告があります。「柴胡」剤は免疫調整作用に優れます(詳しくは別の機会に)
さらに「五苓散」に「平胃散」を合わせると「胃苓散」でウイルス性腸炎に重宝します。

沢瀉タクシャ
【沢瀉】タクシャ
「くわい」の仲間で利尿作用や抗腎炎作用や抗アレルギー作用も。膀胱炎に使う「猪苓湯」の構成生薬でもあります。

【蒼朮】ソウジュツ
水の停滞に伴う症状を改善。意外と多くの漢方に含まれています(約4分の1)

【猪苓】チョレイ
猪苓チョレイ
いわゆるマイタケの菌核です。消炎、解熱、止褐、利尿などが主な作用ですが、これも発がん抑制作用などが注目されていますね!

茯苓ブクリョウ


【茯苓】ブクリョウ
サルノコシカケ科マツボドの菌核を輪切りにしたもので多糖類などを豊富に含みます。
やはり利水作用に優れます。「桂枝茯苓丸」で有名です。
「桂枝茯苓丸」は戦国時代、打撲(打ち身)の特効薬だったそうです。

今回は、風邪のひきはじめにおかしいな?と思ったら
早目にのみたい3つの漢方薬をご紹介しました。
次回は、やっぱり風邪でした!というときにのみたい漢方薬をご紹介したいと思います。


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★ご注意:以上の記述は、あくまで一個人の意見ですので、薬の効果や病気の治癒等を保証するものではありません。実際のお薬等の服用にあたっては、注意書きをよく読み、ご自身の判断・責任で、お試しください。よろしくお願い申し上げます