年末年始 食べたり飲んだりの機会も多くて
みなさんの胃腸 フル稼働状態が続いていませんか?
寒い季節はそれでなくても胃腸に負担がかかっています
つらい胃もたれや胸焼け 胃腸もいたわってあげたいですね
そんなとき試していただきたいのが 今回ご紹介する
漢方の【半夏瀉心湯】(ハンゲシャシントウ) です
構成生薬は7種類
【半夏ハンゲ】【黄芩オウゴン】【乾姜カンキョウ】【甘草カンゾウ】
【大棗タイソウ】【人参ニンジン】【黄連オウレン】
補益作用のある人参・甘草・大棗に 抗炎症作用を持つ黄芩・黄連と消化管機能改善作用のある半夏・乾姜を組み合わせることにより、胃腸粘膜の炎症を緩和し、
粘膜のダメージの回復を早めます
実はこの7種類はすでにバックナンバーで全部ご紹介済みです
生薬の組み合わせや配合割合を変えると用途や効き目ががらっと変わってくるのが
漢方の奥深くて 面白いところですね
胃もたれ・胸焼け 以外にも口内炎やゴロゴロとくる下痢にも とてもよく効きます
また普段 PPI(プロトンポンプインヒビター:タケプロン等で有名) や
H2-Blocker(H2ブロッカー:ガスターでもうおなじみですね) などの西洋薬を
服用されている方も併用できますので便利
これも実は 中身は【半夏瀉心湯】です |
中身は【安中散】です |
【人参湯】(ニンジントウ)がオススメです
そして 胸のつかえや神経性胃炎には以前ご紹介したことのある
【半夏厚朴湯】がよく効きます
これ中身は【半夏厚朴湯】 |
この【半夏瀉心湯】(ハンゲシャシントウ)。実は何で有名かというと癌化学療法に使われている
塩酸イリノテカンの副作用としておこる下痢に著効することで有名です
以下の内容は 少し医療従事者向けになるかもしれません
イリノテカン(CPT-11)は副作用として遅延性の重篤な下痢が高頻度に発現します
そのメカニズムは CPT-11の活性代謝物であるSN-38のグルクロン酸抱合体が
胆汁中に排泄され、それが腸内細菌のβ-グルクロニダーゼによって脱抱合され、
腸内で再生したSN-38が腸管粘膜の細胞障害をひき起こすためと考えられています
半夏瀉心湯の構成生薬である黄芩に含まれるフラボノイド配糖体のバイカリンには
β-グルクロニダーゼを阻害する活性があるため
活性型の腸管での再生成を抑え、塩酸イリノテカンの下痢を抑制することが報告されています
塩酸イリノテカンの投与2~3日前から半夏瀉心湯エキス剤を投与したところ
下痢の予防あるいは軽減効果があることが動物実験やヒトの臨床試験で示されました
この際、抗腫瘍効果には影響しないことが確認されています
また半夏瀉心湯には腸管内プロスタグランジンE2の増加を抑制し
障害された腸管粘膜の修復を促進しさらに腸管の水分吸収能を改善する効果も
報告されています ちなみに逆に便秘になったりの心配はまずありませんのでご心配なきよう
漢方は基本的に便通を改善し、下痢止めに効く漢方でも便秘になるものはまずありません
塩酸イリノテカン誘発の下痢に対しては、塩酸ロペラミドがしばしば投与されますが、
同剤に無効な場合も半夏瀉心湯が著効を示すことが多く、
塩酸イリノテカンの使用にあたっては半夏瀉心湯の予防的内服が勧められています
今回ご紹介した【半夏瀉心湯】以外にも 癌化学療法領域には すでに様々な 【漢方方剤】が
活躍しています 今後これらも順にご紹介していきたいと思っています
★ご注意:以上の記述は、あくまで一個人の意見ですので、薬の効果や病気の治癒等を保証するものではありません。実際のお薬等の服用にあたっては、注意書きをよく読み、ご自身の判断・責任で、お試しください。よろしくお願い申し上げます
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