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源実朝像(『國文学名家肖像集』収録) |
鎌倉幕府三代将軍・源実朝が甥の公暁に暗殺される。享年28歳。 公暁も北条義時に成敗される。享年20歳。
源 実朝(みなもと の さねとも、實朝)
鎌倉時代前期の鎌倉幕府第3代征夷大将軍。
鎌倉幕府を開いた源頼朝の四男(頼朝の子としては第6子で四男、政子の子としては第4子で次男)として生まれ、兄の頼家が追放されると12歳で征夷大将軍に就く。政治は始め執権を務める北条氏などが主に執ったが、成長するにつれ関与を深めた。官位の昇進も早く武士として初めて右大臣に任ぜられるが、その翌年に鶴岡八幡宮で頼家の子公暁に暗殺された。これにより鎌倉幕府の源氏将軍は断絶した。
歌人としても知られ、92首が勅撰和歌集に入集し、小倉百人一首にも選ばれている。家集として金槐和歌集がある。小倉百人一首では鎌倉右大臣とされている。
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鎌倉右大臣(出典:デジタル大辞泉) |
なぎさこぐ
あまの小舟の 綱手かなしも
(小倉百人一首93番)
現代語訳
世の中の様子が、こんな風にいつまでも変わらずあってほしいものだ。波打ち際を漕いでゆく漁師の小舟が、舳先(へさき)にくくった綱で陸から引かれている、ごく普通の情景が切なくいとしい。
【世の中は】
「今自分が生きているこの世界」という意味
【常にもがもな】
「常に」は形容動詞「常なり」の連用形で「永遠に変わらない」。「もがも」は難しいことが叶ってほしいという、願望の終助詞、「な」は詠嘆の終助詞。全体で「永遠に変わらないでいてほしいものだ」。
【渚(なぎさ)漕ぐ】 「渚(なぎさ)」は「波打ち際」。
【海人(あま)の小舟(をぶね)の綱手(つなで)】
「海人(あま)」は「漁師」のこと。「綱手(つなで)」は舟の先に立てた棒に結びつける麻の綱。川をさかのぼったりするときには、陸からこの綱で引っ張って上がっていった。
【かなしも】
心を揺さぶるような切なさを表す形容詞「かなし」の終止形に、詠嘆の終助詞「も」がついている。「心が動かされるなあ」というような意味。