『機動戦ガンダムユニコーン RE:0096』第10話「灼熱の大地から」











地球に落ちたユニコーンガンダムとバナージを助けたガランシェールが西サハラ砂漠に不時着した。地球潜伏のジオン残党軍は地球連邦の首都ダカールを襲撃する陽動作戦を展開。連邦政府の中心人物ローナンはブライト・ノアにガランシェール探索を命じる。リディと共に地球に降りたミネバは自分が政治利用されるのを怖れてマーセナス家から姿を消すが、地球生まれの老人が語る「宇宙移民を実行した人々の善意」という言葉でなすべきことに気づき、追っ手の者達に身を預ける。同じ頃、アルベルトの叔母マーサは強化人間のマリーダを手駒とするべく再調整を施す。一方、ジンネマンはジオン残党軍と接触するためバナージを連れて砂漠の横断を敢行する。

  • 脚本:むとうやすゆき
  • 絵コンテ:古橋一浩、玄馬宣彦
  • 演出:菱田正和、綿田慎也、京極尚彦
  • キャラクター総作画監督:高橋久美子
  • メカ総作画監督:玄馬宣彦
  • キャラクター作画監督:茂木信二郎、堀内博之、濱田邦彦、藤澤俊幸
  • メカ作画監督:中谷誠一、仲 盛文、城前龍治、津野田勝敏





























「おごりだ 飲みな いい食いっぷりだ
若い娘さんにしちゃ 気取りがなくていい」

ありがとうございます いただきます

「ここいらじゃ見かけないが どこから来なすった?
スペースノイドか そりゃ見かけんわけだ
観光かい? この辺りじゃ 見るものもないだろうに」

いえ 宇宙暮らしの身には
地面に足をつけていられるだけでうれしいものです

「わしらのような者には この重力が 疎ましくなることもある
宇宙へ行けば 腰の痛みも 取れるんじゃないかってな」

ずっと地球に住んでおられるのですか?

「ああ 今更 離れられんよ

わしらの世代は じいさん・ばあさんから
昔の惨状を聞かされて育っとる
そりゃ ひどいもんだったらしい
それをなんとかしたくて
人は 連邦政府をつくり
宇宙移民ってやつを始めた
「貧乏人だけが 無理やり宇宙に捨てられた」って
言うヤツらもいるが
望んで出ていった連中も大勢いた
地球の自然が元に戻るまで
もう帰らないと覚悟してな
それも一年戦争で ほとんど 「元の木阿弥」になっちまったが」


救われませんね

「まあ しょうがない
全て善意から始まっていることだ」

善意?

「連邦も移民も 元は 人類を 救いたいって善意から始まっている
会社を儲けさせたり 家族の暮らしをよくしたいと願うのと同じで」

でも それは ともすれば
エゴと呼ぶべきものになります

「そうかもしれんがね
それを否定してしまったら この世は闇だよ
自分を殺して 全体のために 働けるヤツってのも
いるんだろうが それはそれで うさんくさい
ネオ・ジオンのシャアとかな
「全て 人のためだ」と言いながら
「隕石落とし」をやる
本当は 人間を好きになったことが ない男だったんじゃないかな」



では どうすれば?

「さあな わしらにゃ そいつが分からなかった
努力はしたつもりだが
結局は ツケを先送りにしただけで
あんたたちに 何もしれやれんことを
悔いながら生きている
わしには そのコーヒーを いれてやるのが精いっぱいだ」



そうか・・・そうですね 私にやれること・・・

おいしいコーヒーでした
このコーヒーを飲めただけでも
地球に来た価値は あったと思えます

(ヘリコプターの音)
(ドアの開く音)
(オードリー・バーン様 ローナン議長がお待ちです ご同道を)



「あんた・・・」

『ミネバ・ザビである 逃げ隠れするつもりはない
道を開けよ』