BS1シリーズ コロナ危機
第6章 「距離」のビジネスが世界を変える
ソーシャルディスタンス
コロナ危機のさなか
にわかに浮上したキーワード
その社会的な距離の考え方は
結果、テレワーク、オンライン会議・・・ネットを駆使し
距離を置いて、つながる新たな行動様式を加速させる。
そして、それはネット空間をツールとして利潤を
生むことを私たちに課している。
トーマス・セドラチェク
「パンデミックでは近いものが近くなり 遠いものが遠くなります。つまり世界中を飛び回り誰とでも取引ができていた頃は私たちは流動的でした。私たちは世界中のどこにでもいることができました。今もインターネットを使って世界中のどこにでもいることはできますが、私たちが向かおうとしている インターネットの世界は アナキスト的なものです。とても自由主義的です。あなたがやりたいことはいろんな方法を使ってなんでもできます。インターネットには王様はいません。インターネットにルールを定める議会もありません。非常に混沌としていますがうまく機能しています。これは一つの見方ですが、とても共産主義的な見方もできます。」
自由 無政府 共産主義
ネットは混沌のまま膨張し続ける
そしてそれはリアルとバーチャルの境目も消失させ
資本主義の形をも変えていくのか。
「息子は「IRL」で会ったことのない友達がいます。in real life(リアルな生活の中で)。
私もこの言葉は知りませんでした。彼は私たちの世界を「the world of boomers(団塊の世界)」と呼び「IRL」とも呼んでいます。2階で彼がパソコンで遊んでいるときに時々(その言葉が)聞こえてきました。「OKじゃあIRLでするのはどう?」私は「IRLって何?」と聞くと、知らないの?”リアルな生活の中で”という意味だよ。彼にとって大半のこと例えば交流や議論、もしかすると愛でさえも架空の空間で起こっている。私たちの世代では子供の頃・・・いや親が若かったころに作られた映画は現実に見えるように作られていました。今の私たちは映画の中のような生活をしています。そして面白いことに私たちはインターネット・ウイルスにも「ウイルス」という言葉を使います。コロナウイルスは私たちの移動を制限してきました。想像してみてください、インターネットを崩壊させるデータウイルスを、コロナウイルスの代わりに選ぶことができるとしたら。私は13歳の息子にどちらのウイルスがマシかと聞く勇気もありませんでした。もし私が息子にこの質問をしたらもちろん彼は私の顔を見て笑い、「コロナウイルスの方がずっと良い」と即答するでしょう。また私たち大人が人の動きを止めるかデータの動きを止めるか、どちらかを選ばなければいけない状況にいると想像してみてください。2020年においてはデータの動きが止まる方が、この生物学的なものよりもはるかに悲惨な事態を招くでしょう。」
5Gや IOT、ネットワークが分断されると実体経済への影響は
より大きいものともいわれる。「ですので諸刃の剣ですね。繰り返しになりますがスピリチュアルな形、インターネット上のデジタルな形に変換可能なものがより多く交わされ、実際の物理的な交流や人々の移動は今後減っていくでしょう。」
ネットの世界のウイルスの危険性も
生物学的なウイルスと同様に考えられねばならないはずだ。
電子の網の目に支えられた資本主義の脆弱性は
すでに指摘されてきたのではなかったか?
マルクス・ガブリエル
「デジタルの変革を加速させるべきという考え方に心から異議を唱えます。例えば学習システム 従来型の大学での学習システムを、オンライン学習に取り換えるだとか人間のコミュニケーションを遠距離通信に取り換えるべきという考え方です。これらは人類にとって悲惨なものになります。またそれは機能しないでしょう。
オンライン化は人類にとって災厄
我々は我々をつなぐ物質的宇宙の単なる一部だけではありません。そこには変化をもたらしうるのです。人類の進歩は物質的レベルでは起きません。物資的なレベルでの近代の論理は単に技術の発展しか意味せず、人間の存在にとって脅威でしかないのです。啓蒙なき近代というのは必然的にサイバー独裁制に向かいます。
啓蒙なき近代はサイバー独裁へ
ですからもしグローバル化とデジタル化の道をまさに我々が1990年以降目の当たりにしてきた形で進めば、必然的に全世界が北朝鮮の形になってしまいます。問題は我々がそれを望むかです。我々は自身のことをウイルス学的モデルで考えるのか、それはつまり完全なる支配や監視、行動の制御の元に置かれることになります。」
サイバー独裁を警戒せよ
かりそめの安全のために自由を手放すことへの警告だ
都市封鎖という制御と自由な経済活動のはざまで
苦渋の決断を味わった社会はどうバランスをとるべきか
「そこにはこの問題に関する現代の社会の考え方において常にある思想様式があり、それはマルクス主義の批判を思い起こさせます。理想の国家はうまくいかなかったと皆さんは言うでしょう。マルクス主義はだめだったと。私はマルクス主義者ではありませんが気をつけないといけません。マルクス主義者のイデオロギーは世界で最大の国、中国を動かしているイデオロギーです。共産主義は失敗したという考えもひどい誤りです。
共産主義は本当に失敗したのか?
中国がうまくいっているというのではありません。私が申し上げているのは、現在のところマルクス主義は終わっていないということです。また明らかに忘れてならないのは、冷戦は決して終わっていないということです。そして唯一の本格的な代替案としてあるのが、現代の中国のイデオロギーです。ですから習近平の社会に対する見方が現在世界を征服しつつあります。ヨーロッパは人類の歴史で初めて完全に中国の先例にならっています。我々がとっている対応策は中国のものです。人々は中国を模倣するべきだと言っています。注目すべき初めてのことです。これは新しい超大国 中国の存在感の立証です。我々はアメリカ化を目の当たりにしてきました。そしてこれからは西洋と東洋の意義を同等に取り入れていくことでしょう。
浮上する中国の存在感
ですから我々には自身を理解するための新しいモデルが必要なのです。もしそれを望まなければ中国の現代の毛沢東のイデオロギーが、他のイデオロギーより優れているという結論にいたるかもしれません。しかし我々は少なくともこれがなすべき正しいことかどうか真剣に議論するべきだと思います。」
パンデミックの原因を作った中国が
今のところいち早く立ち直り
経済力の強化に動き始めた
そのことに対する欧米各国の反発もあり
中国とアメリカの関係の悪化もささやかれている
国家による一元的な権力の集中が可能となる
中国の社会主義市場経済
更にテクノロジーによる監視の威力を
世界に知らしめる結果ともなった。
ニーアル・ファーガソン
「あるレベルにおいてパンデミックは左派への傾倒を生み出します。なぜなら国民皆保険を求める声を正当化し、このような時には小さな国家を目指すべきだとする保守派の主張を弱めるからです。危機において国家は欠くことのできない役者のようなものです。一方で急進派や社会民主主義者たちはパンデミックをきっかけに左派に勢いがつくと喜んでいます。しかしパンデミックが開かれた国境やグローバリゼーションの危険性を露呈し、国民の基本的安全という面で、国民国家優位性が再認識されているという点に彼らは気づくべきでしょう。最終的な分析においてパンデミックはグローバリズムに対する批判が正しかったことを表していると思います。」
危機の時代に繰り返される大きな政府への期待
だがそのこと以上にグローバル経済という魔物が生む
本質的な構造の変化こそ見逃してはいけないのかもしれない
トーマス・セドラチェク
「労働はすでにバーチャルな領域に移行していると思います。先進国のGDPの70%はサービス業が占めています。そしてこれらのサービスはとても簡単に抽象的な世界に移行することができます。」
アイデアなど いわば無形の商品で 価値を生む領域が拡大した
現代のグローバル資本主義ではいよいよ事態はねじれている
近代化以前の戦いのような図式が
21世紀のネット上で繰り広げられるのは皮肉と言うほかない
強大化するGAFA資本主義と存在感を増す中国の社会民主主義経済
膨大なデータの集積力を巡る争い
ネットというバーチャルな空間で富を生む攻防が
グローバル経済の主戦場となりつつある今
日本にはどんな道があるのか?
グローバル化でもなくブロック化でもない
網の目の張り巡らし方はあるのか?
第7章『複雑性の回復力』 へ
BS1シリーズコロナ危機「グローバル経済 複雑性への挑戦」第1章 まとめhttps://t.co/xwoCVn8Lx1— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) April 21, 2020
「総需要と流動性、同時に供給側の問題が発生、もはや未知の領域…」
スティグリッツ
「世界はBCビフォー・コロナと
ACアフター・コロナに分けられる…」ルチル・シャルマ
まずは第1章まで pic.twitter.com/dv8yjVa0Mm
BS1シリーズ コロナ危機— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) April 22, 2020
「グローバル経済 複雑性への挑戦」
第2章『グローバル経済から一転
国家が前線に立つ時』https://t.co/vMSJAtL2zp
この新たな危機の本質を見誤れば経済的なつながりを回復させる道筋は失われてしまう。新たな処方箋はどこにあるのか pic.twitter.com/UdWhEL0KV8
BS1シリーズ コロナ危機 まとめ— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) April 29, 2020
グローバル経済 複雑性への挑戦
第3章『コロナ以前 すでにあった危機』
「ポスト・コロナの世界すなわちアフター・コロナの世界では脱グローバル化のペースが加速するでしょう…https://t.co/9m3JbBFXdJ #新型コロナウイルス #BS1 #シリーズコロナ危機 pic.twitter.com/v0IplzrVBe
BS1シリーズ #コロナ危機— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) May 3, 2020
【グローバル経済 複雑性への挑戦】
第4章 歴史の針をどこまで巻き戻す?https://t.co/tquUl6HiL3
「…戦争と比べるとパンデミックははるかに経済を縮小させます。つまりパンデミックは最初は戦争と同じようですが、すぐにデフレと縮小を引き起こす他の何かに… pic.twitter.com/E55tmVkyY9
BS1シリーズ #コロナ危機— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) May 3, 2020
【グローバル経済 複雑性への挑戦】
第4章 歴史の針をどこまで巻き戻す?https://t.co/tquUl6HiL3
「…戦争と比べるとパンデミックははるかに経済を縮小させます。つまりパンデミックは最初は戦争と同じようですが、すぐにデフレと縮小を引き起こす他の何かに… pic.twitter.com/E55tmVkyY9
BS1シリーズ コロナ危機— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) May 3, 2020
「グローバル経済 複雑性への挑戦」
まとめ 第5章 「経済が弱者を追い詰め社会を壊す?」https://t.co/Hhwtre79G5
今やドイツのGDPを上回るほどの株式時価総額を誇る巨大プラットフォーマーGAFA。情報の独占から公共の利益へ。企業と国家の協力は いかにして可能か。 pic.twitter.com/COs3UdDR4L
BS1シリーズ 【コロナ危機】— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) May 6, 2020
グローバル経済 「複雑性への挑戦」
第6章「距離」のビジネスが世界を変えるhttps://t.co/rW3i642awW
パンデミックの原因を作った中国がいち早く立ち直り経済力の強化に動き始めた。欧米各国の反発もあり中国とアメリカの関係の悪化もささやかれている…#nhkbs1 pic.twitter.com/X7anF60Lxj
BS1シリーズ 【コロナ危機】— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) May 6, 2020
グローバル経済 「複雑性への挑戦」
第7章: 『複雑性の回復力』https://t.co/to6QWhnWs0
1995年の調査開始以来、
世界トップの日本経済の複雑性。
コロナと共に生きていく
withコロナ時代に経済の複雑性は
どんな強みを意味するのか…#nhkbs1 #スティグリッツ pic.twitter.com/OLVM2tXAKF
BS1シリーズ 【コロナ危機】— 伊勢乃杜@麒麟がくる (@takayuki_sko) May 6, 2020
「グローバル経済 複雑性への挑戦」
最終章 『withコロナ時代~新たなグローバル経済への提言』https://t.co/x5ZU2v64Zu
「これはパラダイムの転換かもしれません」「パンデミックから脱した時リソースを経済再構築にあて、そして再生可能エネルギーを拡大すべき」 pic.twitter.com/I6QRxKmPYN